「急に心臓がドキドキする」「立ち上がるとふらつく」——更年期に入ってこうした症状が出ると、多くの方が「年齢のせいだろう」と考えます。ただし動悸とめまいは、甲状腺の異常や貧血でもまったく同じように起こる症状で、いずれも血液検査で確認できます。本ページでは更年期によるものと他の病気を見分けるポイントを整理し、検査で何がわかるのかをご説明します。
この記事で分かること
- 更年期の動悸・めまいは、エストロゲン減少による自律神経の乱れで起こる
- ただし甲状腺機能亢進症・甲状腺機能低下症・鉄欠乏性貧血でも同じ症状が出る
- 見分けるポイントは体重の変化・手指のふるえ・寒がり/暑がり・爪や皮膚の状態
- これらは血液検査(TSH・FT4・Hb・フェリチン)で確認できます
- 「更年期だから」と決めつけて検査を受けないことが、いちばん避けたい状態
- おうち病院のオンライン診療(内科)で相談でき、費用は約1,900〜2,400円(保険適用)
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目次
【鑑別表】動悸・めまいの原因を見分けるポイント
同じ「動悸」「めまい」でも、背景にある原因によって伴う症状が違います。まず下の表でご自身に近いものを確認してください。
| 更年期障害 | 甲状腺機能亢進症 | 甲状腺機能低下症 | 鉄欠乏性貧血 | |
|---|---|---|---|---|
| 動悸 | ○ 突発的、ほてりと一緒に | ◎ 安静時も続く | △ 徐脈のことも | ○ 動いたときに強い |
| めまい | ○ ふらつき・立ちくらみ | ○ | ○ 重い感じ | ◎ 立ちくらみが特徴的 |
| 体重 | 変わらない〜やや増加 | 減る(食べているのに) | 増える | 変わらない |
| 体温の感じ方 | ほてりと冷えが交互 | 暑がり・汗が多い | 寒がり | 変わらない |
| 手指 | — | 細かくふるえる | むくむ | 爪が割れる・スプーン状になる |
| その他 | 月経の乱れ、ほてり、発汗 | 眼球突出、下痢 | 便秘、皮膚の乾燥、脱毛 | 息切れ、疲労感、氷を食べたくなる |
| 確認する検査 | 問診+ホルモン値 | 血液検査(TSH・FT4) | 血液検査(TSH・FT4) | 血液検査(Hb・フェリチン) |
| 主な受診先 | 婦人科・内科 | 内科・内分泌内科 | 内科・内分泌内科 | 内科 |
見分けの決め手は「体重」と「体温の感じ方」です。 食べているのに体重が減って暑がりなら甲状腺機能亢進症、体重が増えて寒がりなら甲状腺機能低下症を疑います。更年期障害では体重や暑がり・寒がりの一方向の変化は起こりにくく、ほてりと冷えが交互に現れるのが特徴です。
ホルモン補充療法という選択肢については 更年期のホルモン補充療法(HRT) で解説しています。
なぜ更年期に動悸・めまいが起こるのですか
エストロゲン(女性ホルモン)は、自律神経の働きに関わっています。日本人女性の閉経の平均年齢は50.5歳で、その前後10年間にエストロゲンが急激に減少すると、交感神経と副交感神経の切り替えが乱れやすくなります。
その結果、実際には心臓に異常がなくても心拍が速く感じられたり、血圧の調整がうまくいかずに立ちくらみが起きたりします。厚生労働省研究班監修の資料でも、動悸・息切れ・めまいは更年期のその他の身体症状として整理されています。
更年期の動悸には次のような特徴があります。
- ほてり・のぼせと同時に起こることが多い(血管運動神経症状に連動する)
- 数分でおさまり、あとに残らない
- 日によって・時間によって波がある
- 安静時にも突然起こることがある
一方、安静時にもずっと続く動悸、体重減少や手指のふるえを伴う動悸は、更年期以外の原因を先に考えます。
更年期がいつからいつまで続くのかは 更年期はいつから いつまで? をご覧ください
血液検査で何がわかりますか
「更年期かどうか」を判断する前に確認しておきたい項目を整理しました。いずれも採血1回で調べられます。
| 検査項目 | 何がわかるか | 異常があった場合 |
|---|---|---|
| TSH(甲状腺刺激ホルモン) | 甲状腺の働きが強すぎないか・弱すぎないか | 亢進症・低下症の可能性。内分泌内科での精査へ |
| FT4(遊離サイロキシン) | 甲状腺ホルモンの実際の量 | 同上 |
| Hb(ヘモグロビン) | 貧血があるか | 貧血の程度を評価。原因検索へ |
| フェリチン | 体内に蓄えられた鉄の量 | Hbが正常でも鉄が不足している「隠れ貧血」がわかる |
| エストラジオール(E2)・FSH | 卵巣機能の状態 | 更年期の診断の補助になる |
とくにフェリチンは重要です。 ヘモグロビンが基準内でも体内の鉄が枯渇していることがあり、この状態では動悸・疲労感・立ちくらみが出ます。「貧血ではないと言われたのに調子が悪い」という方は、フェリチンを測っていない可能性があります。
参考:女性の健康推進室 ヘルスケアラボ「更年期障害とは?」(厚生労働省研究班監修)
動悸・めまいで、すぐに受診すべきサイン
以下に当てはまる場合は、更年期かどうかを考える前に受診してください。別の病気が原因である可能性があります。
| 症状 | 疑われる状態 | 受診先 |
|---|---|---|
| 脈が飛ぶ・不規則に打つ感じが続く | 不整脈 | 循環器内科 |
| 胸の痛み・締めつけ感を伴う | 狭心症・心筋梗塞 | 至急、循環器内科または救急 |
| 息苦しさが強く、横になれない | 心不全 | 至急、循環器内科または救急 |
| 意識が遠のく・実際に倒れた | 不整脈、起立性低血圧など | 循環器内科・脳神経内科 |
| 回転性のめまい(自分や周りがぐるぐる回る)+耳鳴り・難聴 | 内耳性のめまい(メニエール病等) | 耳鼻咽喉科 |
| 手足のしびれ・ろれつが回らない・激しい頭痛を伴う | 脳血管障害 | 至急、救急 |
回転性のめまいは、更年期の「ふらつき」とは区別されます。 自分や周囲がぐるぐる回る感じで、耳鳴りや難聴を伴う場合は、内耳の病気を先に考えます。耳鼻咽喉科を受診してください。
空腹時に動悸がする場合
食事から時間が空いたときに動悸・冷や汗・手のふるえが起こり、何か食べると改善する——このパターンは低血糖の可能性があります。糖尿病の治療を受けている方はもちろん、治療を受けていない方でも起こることがあります。受診時に「いつ起こるか」「食事との関係」を伝えてください。
こんな状態が続いていませんか【セルフチェック】
以下の項目に2つ以上当てはまる場合は、一度医師に相談することをご検討ください。★の項目は1つでも当てはまれば受診をおすすめします。
□ 動悸やめまいが週に何度もあり、家事や仕事に影響している
□ ほてり・のぼせと一緒に動悸が起こる
□ 立ち上がったときにふらつくことが増えた
□ 疲れやすく、階段や坂道で息が切れるようになった
□ 「更年期だから仕方ない」と思って我慢している
□ 健康診断で貧血を指摘されたことがある
□ ★食べているのに体重が減ってきた、手指がふるえる、暑がりになった
□ ★体重が増え、寒がりになり、便秘や皮膚の乾燥が続いている
□ ★脈が飛ぶ・胸の痛み・意識が遠のくことがある
★の1つ目・2つ目は甲状腺の異常、3つ目は循環器の異常が疑われます。いずれも血液検査や心電図で確認できますので、早めに医師にご相談ください。
「更年期だから」で止めないでください
厚生労働省が2022年7月26日に公表した「更年期症状・障害に関する意識調査」では、更年期症状を自覚した女性のうち40歳代の81.7%、50歳代の78.9%が医療機関を受診していないことが示されました。受診しなかった理由の最多は「医療機関に行くほどのことではない」でした。
この年代で起こる不調をすべて更年期に帰してしまうことには、実質的なリスクがあります。 甲状腺疾患は女性に多い病気で、鉄欠乏性貧血も月経のある年代の女性に高頻度でみられます。どちらも治療可能で、しかも血液検査という簡単な方法で確認できます。
「更年期だと確認できた」ことと、「更年期だと思い込んでいる」ことは、まったく違います。
参考:厚生労働省「更年期症状・障害に関する意識調査」結果概要(2022年7月26日)
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まず「他の病気ではないこと」を確認しませんか?|「おうち病院 オンライン診療」という選択肢
「病院に行ったほうがいいのはわかっているが、平日に時間が取れない」「この程度で受診してよいのか迷う」——そうした理由で先延ばしにしている方は、オンライン診療から始める方法があります。
おうち病院では、スマートフォン・PCから保険適用で内科の診察を受けられます。動悸・めまいの症状を医師が問診で確認し、甲状腺疾患や貧血が疑われる場合には診療機関での血液検査をご案内します。 更年期症状に対しては、加味逍遙散・当帰芍薬散・桂枝茯苓丸などの漢方薬を保険診療で処方しています。
おうち病院の特徴
✅ 自宅から受診できる
スマートフォン・PCから問診・診察が完結します。動悸やめまいが不安で外出しづらいときでも、自室から相談できます。待合室で他の患者さんと顔を合わせることもありません。
✅時間通りに診察が始まる
予約した時間に診察が開始するため、仕事の合間にも受診を計画的に組み込むことができます。
・平日・土日祝日も朝8時〜夜22時まで診察可能
✅ 女性医師が丁寧に診察
診察時間を15分確保しています。医師は事前に問診票を読み込んで診察に臨むため、「どんなときに動悸が起こるか」「体重や体温の感じ方が変わっていないか」といった、見分けに必要な情報を落ち着いて整理していただけます。
✅受診場所と薬の受け取り場所を分けられる
受診はスマートフォン・PCから自宅や外出先で行い、処方薬は自分が指定した薬局で受け取れます。
・処方せんは全国8,200店舗の薬局から選択し自動送信され、受け取り可能
・自宅配送「おくすりおうち便」を利用すれば、薬局に行く手間なし
受診費用の目安(保険適用・3割負担の場合)
| 費用項目 | 金額 |
|---|---|
| 診察料(保険適用・初診) | 1,000〜1,200円 |
| システム利用手数料 | 1,100円 |
| 合計目安 | 約1,900〜2,400円 |
※薬代は別途。薬局での自己負担額は薬剤・保険の種類により異なります。
おうち病院 オンライン診療の受診の流れ(5ステップ)
- おうち病院のトップページから診療予約(ほてり・のぼせが中心なら内科、手足・脇の限局した汗が中心なら多汗症外来)
- 事前問診票に回答 次の5点をあらかじめ整理しておくと診察がスムーズです
・動悸・めまいがいつ・どんな状況で起こるか
・体重の変化(増えた/減った/変わらない)
・暑がりになったか、寒がりになったか
・手指のふるえ・むくみ・爪の変化の有無
・月経の状況と、ほてり・発汗の有無 - ビデオ通話で医師と診察 (約15分・クイックな対応の場合には5分程度で完了)
- 必要に応じて血液検査のご案内、または漢方薬の処方(処方薬は薬局で受け取り、または自宅に配送してもらう)
- 経過を見ながら調整 — 検査結果や症状の変化に応じて方針を調整します。漢方薬は1〜3か月で効果を判断します
対面受診をおすすめする場合
以下に当てはまる場合は、対面での受診をご検討ください。オンライン診察の中で医師が対面受診の必要性を判断した場合も、あらためてご案内します。
- 胸の痛み・脈の乱れ・意識が遠のく(循環器内科へ。症状が強い場合は救急を受診してください)
- 回転性のめまいに耳鳴り・難聴を伴う(耳鼻咽喉科へ)
- 食べているのに体重が減る、手指がふるえる(甲状腺の血液検査が必要です)
- 不正出血がある、月経量が急に増えた(婦人科へ)
受診先の全体像は 更年期は何科に行けばいい?症状タイプ別・診療科の早見表 で整理しています。漢方薬の使い分けは 更年期障害の漢方 をご覧ください。
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よくある質問(FAQ)
Q. 更年期に動悸やめまいが起こるのはなぜですか?
A.エストロゲン(女性ホルモン)は自律神経の働きに関わっており、更年期に急激に減少すると交感神経と副交感神経の切り替えが乱れやすくなります。その結果、心臓に異常がなくても心拍が速く感じられたり、血圧の調整がうまくいかず立ちくらみが起きたりします。更年期の動悸はほてり・のぼせと同時に起こることが多く、数分でおさまり、日によって波があるのが特徴です。
Q. 更年期の動悸と甲状腺の病気はどう見分けますか?
A.見分けの決め手は体重と体温の感じ方です。食べているのに体重が減り、暑がりになって手指が細かくふるえる場合は甲状腺機能亢進症を、体重が増えて寒がりになり便秘や皮膚の乾燥が続く場合は甲状腺機能低下症を疑います。更年期障害では体重や暑がり・寒がりの一方向の変化は起こりにくく、ほてりと冷えが交互に現れます。いずれも血液検査(TSH・FT4)で確認できます。
Q. 貧血でも動悸やめまいが起こりますか?
A.起こります。鉄欠乏性貧血では、動悸・息切れ・立ちくらみ・疲労感が現れます。特徴的な所見として、爪が割れやすくなる、スプーン状に反り返る、氷を無性に食べたくなるといったものがあります。注意していただきたいのは、ヘモグロビンが基準内でも体内に蓄えられた鉄が枯渇していることがある点です。フェリチンという項目を測ると、この「隠れ貧血」がわかります。
Q. すぐに受診したほうがよいのはどんなときですか?
A.胸の痛みや締めつけ感を伴う場合、息苦しさが強く横になれない場合、意識が遠のく・実際に倒れた場合は、至急、循環器内科または救急を受診してください。また、手足のしびれ・ろれつが回らない・激しい頭痛を伴う場合は脳血管障害の可能性があるため、救急受診が必要です。脈が飛ぶ・不規則に打つ感じが続く場合も、不整脈の確認のため循環器内科の受診をおすすめします。
Q. ぐるぐる回るめまいも更年期のせいですか?
A.回転性のめまいは、更年期のふらつきとは区別されます。自分や周囲がぐるぐる回る感じで、耳鳴りや難聴を伴う場合は、メニエール病など内耳の病気が疑われます。この場合は耳鼻咽喉科の受診が適しています。更年期に伴うめまいは、立ちくらみやふわふわする感じとして現れることが多く、回転感を伴うことは比較的少ないとされています。
Q. 動悸・めまいの検査ではどんな項目を調べますか?
A.血液検査でTSH・FT4(甲状腺の働き)、Hb・フェリチン(貧血と体内の鉄の量)、エストラジオール・FSH(卵巣機能)などを確認します。いずれも採血1回で調べられます。必要に応じて心電図で不整脈の有無も確認します。「更年期かどうか」を判断する前に、これらの検査で他の病気を除外しておくことが重要です。
Q. オンライン診療で動悸・めまいの相談はできますか?
A.できます。おうち病院では保険適用で内科の診察を受けられ、症状の内容や経過を医師が問診で確認します。甲状腺疾患や貧血が疑われる場合には、血液検査が受けられる医療機関をご案内します。ただし、胸の痛み・意識が遠のく・脈の乱れが続くといった症状がある場合は、オンラインではなく対面での受診をお願いしています。
Q. 検査で異常がなければ、更年期ということですか?
A.甲状腺疾患・貧血・不整脈などが除外され、月経の変化とほてり・発汗を伴っているのであれば、更年期障害の可能性が高いと考えられます。ただし診断は医師が総合的に判断するものです。他の病気ではないと確認できたうえで更年期障害と診断されれば、漢方薬などによる治療が保険適用で受けられます。「他の病気ではないと確認したうえで更年期と考える」ことと、「更年期だと思い込む」ことは意味が異なります。