花粉症皮膚炎とアトピー・脂漏性皮膚炎の見分け方|症状・原因・治療薬を解説

毎年この時期になると、まぶたや頬が赤くなり、化粧品が合わなくなる——花粉症の季節に肌の調子を崩す方は少なくありません。肌荒れの原因が花粉なのか、アトピーなのか、化粧品なのかは、症状の出る場所と時期で見分けられます。本ページでは4つの皮膚疾患を比較表で整理し、顔に使える薬と受診の判断基準までをご案内します。

この記事でわかること

  • 花粉症皮膚炎は、露出している部位(まぶた・頬・首)に、花粉の飛散期と一致して現れることが最大の特徴です
  • アトピー性皮膚炎・脂漏性皮膚炎とは、出る場所・時期・皮膚の状態で見分けられます
  • 顔とまぶたには、強いランクのステロイド外用薬は使いません。皮膚が薄く、副作用が出やすい部位です
  • まぶたのかゆみには、ステロイドではない選択肢(アレジオン眼瞼クリーム)もあります
  • 対策の中心は、花粉を肌につけないことと、保湿によるバリア機能の回復です

花粉症皮膚炎とは

花粉症皮膚炎(花粉皮膚炎)は、花粉が皮膚に付着することで起こる皮膚の炎症です。鼻や目の症状ほど知られていませんが、花粉症の方に併発することが多く、シーズンを通して続きます。

特徴は3つあります。

特徴内容
出る場所まぶた・目のまわり・頬・首など、衣服で覆われていない露出部に出ます
出る時期花粉の飛散期と一致します。スギ・ヒノキであれば2〜5月、ブタクサ・ヨモギであれば8〜10月です
皮膚の状態赤み・かゆみ・乾燥・ヒリヒリ感が中心で、粉をふくこともあります

バリア機能が低下している肌ほど起こりやすいことがわかっています。乾燥肌の方、アトピー性皮膚炎の既往がある方、マスクの摩擦で肌が荒れている方は、同じ量の花粉が付着しても症状が出やすくなります。

4つの皮膚疾患の見分け方(比較表)

顔の赤みやかゆみを起こす疾患は複数あります。ご自身の状態に近い列を探してみてください。

比較項目花粉症皮膚炎アトピー性皮膚炎脂漏性皮膚炎接触皮膚炎(化粧品等)
主に出る場所まぶた・目のまわり・頬・首(露出部首・肘の内側・膝の裏・顔(左右対称に出やすい)頭皮・眉間・鼻のわき・耳の後ろ(皮脂の多い場所原因物質が触れた場所に一致
出る時期花粉の飛散期と一致通年。季節で変動(冬に悪化しやすい)通年。季節の変わり目に悪化原因物質を使った後
かゆみ強い強い軽度〜中等度強い
皮膚の見た目赤み・乾燥・ヒリヒリ感ゴワゴワと厚くなる(慢性化した場合)黄色っぽく脂っぽいフケ状の付着物境界がはっきりした赤み
経過飛散期が終わると軽快良くなったり悪くなったりを繰り返す慢性的に繰り返す原因を除けば軽快
同時に出る症状くしゃみ・鼻水・目のかゆみ気管支喘息・アレルギー性鼻炎の既往
年齢・背景花粉症のある方乳幼児期から症状があることが多い思春期以降・成人新しい化粧品・洗剤の使用歴

見分けの決め手は「時期」と「場所」の2つです。花粉の飛散期に、露出している部位だけが赤くなり、鼻や目の症状も同時にある——この組み合わせであれば、花粉症皮膚炎の可能性が高くなります。ただし、複数が重なっていることもあります。判断に迷う場合は医師にご相談ください。

なぜ花粉で肌が荒れるのか

花粉症皮膚炎が起こる仕組みには、2つの経路があります。

① 皮膚のバリア機能の低下

健康な皮膚は角層がバリアとなり、外からの異物の侵入を防いでいます。乾燥・摩擦・洗いすぎでこのバリアが弱まると、花粉が角層の内側に入り込みやすくなります。花粉症の季節は空気が乾燥しやすく、マスクの摩擦も加わるため、条件が重なります。

② アレルギー反応

侵入した花粉のタンパク質に対して、免疫が反応することで炎症が起こります。鼻や目で起きていることが、皮膚でも起きていると考えるとわかりやすくなります。

この2つが重なるため、対策も「花粉をつけない」と「バリアを回復させる」の2方向になります。

花粉を肌につけないための対策

薬に頼る前にできることがあります。

対策具体的な方法
帰宅後すぐに洗い流す顔を洗い、髪についた花粉も落とします。ただしゴシゴシ洗うとバリアを壊すため、ぬるま湯で優しく
衣類の花粉を落とす玄関に入る前に払います。ウール素材は花粉が付きやすく、化学繊維は付きにくい傾向があります
保湿を先に行う保湿剤が薄い膜となり、花粉の直接的な付着を減らします。朝の外出前の保湿が特に有効です
マスク・眼鏡鼻・目の症状対策と同時に、皮膚への付着も減らせます
洗顔・クレンジングを見直す症状が出ている時期は、洗浄力の強い製品を避けてください
こすらないかゆくてもこすらないでください。摩擦が炎症を強め、色素沈着の原因にもなります

治療に使われる薬

症状の程度に応じて、以下が用いられます。

分類主な薬目的市販/処方
保湿剤ヘパリン類似物質、白色ワセリン、セラミド配合製品バリア機能の回復市販・処方の両方
抗ヒスタミン薬(内服)第2世代抗ヒスタミン薬かゆみを抑えます市販・処方の両方
ステロイド外用薬ランク別に多数炎症を抑えます市販・処方の両方(ランクが異なります)
まぶた用の抗アレルギー薬アレジオン眼瞼クリームまぶたのかゆみを抑えます(ステロイドではありません処方のみ
免疫抑制外用薬タクロリムス軟膏等アトピー性皮膚炎などに用いられます処方のみ。皮膚科での判断が必要です

まず行うべきは保湿です。バリア機能が回復すれば、花粉が侵入しにくくなり、症状の起こりやすさそのものが下がります。

顔とまぶたのステロイド外用薬について

ステロイド外用薬は、強さによって5段階のランクに分けられています。顔とまぶたは、体の他の部位とは扱いが異なります。

部位使用されるランクの目安理由
体幹・四肢中等度〜強いランク皮膚が厚く、吸収されにくい部位です
弱い〜中等度のランク皮膚が薄く、薬が吸収されやすい部位です
まぶた最も弱いランク、または非ステロイド薬顔の中でも特に皮膚が薄く、目に入るリスクもあります

顔に強いランクのステロイドを長く使うと、以下のような副作用が起こることがあります。

  • 皮膚が薄くなる(皮膚萎縮)
  • 赤みが引かなくなる(酒さ様皮膚炎)
  • 毛細血管が浮き出る
  • まぶたに使った場合、眼圧が上がることがあります

市販のステロイド外用薬を顔に使う場合は、ランクの確認が必要です。「かゆみ止め」として売られている製品の中には、顔への使用に適さないランクのものもあります。購入前に薬剤師にご確認いただくか、医師にご相談ください。

まぶたのかゆみには、ステロイドではない選択肢もあります。アレジオン眼瞼クリーム(エピナスチン)は、まぶたに塗る抗アレルギー薬で、ステロイドを含みません。目のかゆみとまぶたの症状が同時にある方の選択肢になります。

受診を検討すべきサイン

状況対応の目安
保湿で改善し、日常生活に支障がないセルフケアの継続で問題ありません
保湿を2週間続けても赤み・かゆみが引かない受診をご検討ください
かゆくて掻いてしまい、皮膚が傷ついている受診をご検討ください。掻き壊すと細菌感染のリスクがあります
市販のステロイド外用薬を顔に2週間以上使っている受診をご検討ください。ランクや使用期間の見直しが必要な可能性があります
まぶたの腫れが強く、目が開けにくい受診をご検討ください
鼻や目の症状も同時にある内服の抗ヒスタミン薬で全体を抑えられることがあります。医師にご相談ください
ジュクジュクした浸出液が出る/膿がある/急に広がった皮膚科の対面受診をご検討ください。感染を伴っている可能性があります
顔以外にも広く症状がある/子どもの頃から湿疹を繰り返しているアトピー性皮膚炎の可能性があります。皮膚科でご相談ください
同じ場所だけが繰り返し赤くなる接触皮膚炎の可能性があります。原因の特定にはパッチテストが有用です。皮膚科でご相談ください
妊娠中・授乳中である自己判断で市販薬を使わず、医師にご相談ください

「花粉症皮膚炎だと思っていたら別の疾患だった」というケースは珍しくありません。特に、飛散期が終わっても症状が続く場合、露出していない部位にも症状がある場合は、他の疾患を考える必要があります。

こんな症状がありませんか【セルフチェック】

当てはまる項目を数えてみてください。

□ 毎年、花粉の飛散期になると顔や首が赤くなる
□ まぶたや目のまわりのかゆみが特に強い
□ くしゃみ・鼻水・目のかゆみも同時にある
□ 保湿をしても、この時期だけ乾燥やヒリヒリ感が強い
□ 化粧品がしみる、いつもの化粧品が合わなくなる
□ かゆくて顔をこすってしまうことがある
□ ★市販のかゆみ止めを顔に使っている
□ 飛散期が終わると、自然に症状が軽くなる

3つ以上当てはまる場合は、花粉症皮膚炎の可能性があります。医師にご相談ください。

7つ目に当てはまる方へ:顔に使えるステロイドのランクには制限があります。使用中の製品を医師・薬剤師にご確認いただくことをおすすめします。

肌の症状も、鼻や目とまとめて相談できます|おうち病院「オンライン花粉症外来」という選択肢

花粉症皮膚炎で受診をためらう理由のひとつに、「肌のことは皮膚科、鼻は耳鼻科、目は眼科と、別々に行かなければならない」という負担があります。**しかし花粉症皮膚炎の多くは、鼻や目の症状と併発しています。**内服の抗ヒスタミン薬は、これらをまとめて抑える働きがあります。

おうち病院のオンライン花粉症外来では、初診から保険診療で診察を受けられます。

おうち病院の特徴

✅ 最大60日分まで処方できます

1月中旬に受診すれば、3月中旬までカバーできます。シーズン中に薬を買い足したり、混雑した病院に行ったりする必要がありません。

✅ 市販では選べない薬を処方できます

鼻づまりに用いる抗ロイコトリエン薬、期間制限のない鼻噴霧用ステロイド薬は、いずれも市販されていません。初期療法の効果を高める選択肢です。

✅ 合わなかった場合、次の一手があります

市販薬では合わなければ買い直しになりますが、処方であれば経過を医師と共有したうえで別の薬に切り替えられます。

✅ 自宅から受診できる

診察室に行かずにスマートフォン・PCから問診・診察が完了します。仕事が忙しくクリニックが閉まっている時間にしか行けないと悩んでいた方も、自宅から受診が可能です。

時間通りに診察が始まる

予約した時間に診察が開始するため、仕事の合間にも受診を計画的に組み込むことができます。
・平日・土日祝日も朝8時〜夜22時まで診察可能

✅ 女性医師が丁寧に診察

診察時間を15分確保しています。医師は事前に問診票を読み込んで診察に臨むため、「どの部位の症状が最も重いか」「内服薬・点眼薬・点鼻薬の組み合わせ」といった具体的な状況を落ち着いてお伝えいただけます。

受診場所と薬の受け取り場所を分けられる

受診はスマートフォン・PCから自宅や外出先で行い、処方薬は自分が指定した薬局で受け取れます。
・処方せんは全国8,200店舗の薬局から選択し自動送信され、受け取り可能
・自宅配送「おくすりおうち便」を利用すれば、薬局に行く手間なし

✅ お子さん・妊娠中/授乳中の方のご相談にも対応しています

年齢や妊娠週数によって、使用できる薬は変わります。お子さんの年齢、妊娠週数、授乳の有無を問診票にご記入ください。その内容をふまえて、医師が使用できる薬をご提案します。市販薬を自己判断で使う前に、まずは医師にご相談ください。

受診費用の目安(保険適用・両外来共通)

費用項目金額
診察料(保険適用・初診)1,000〜1,200円
システム利用手数料1,100円
合計目安約1,900〜2,400円
※自宅への配送をご希望の場合は追加900円にて「おくすりおうち便」をご利用いただけます。
※薬代は別途。薬局での自己負担額は薬剤・保険の種類により異なります。

おうち病院 オンライン診療の受診の流れ(5ステップ)

  1. おうち病院の花粉症外来ページから診療予約
  2. 事前問診票に回答 (症状の出ている部位・いつから出ているか・鼻や目の症状の有無・使用中の外用薬・服用中の薬など)
  3. ビデオ通話で医師と診察 (約15分・クイックな対応の場合には5分程度で完了)
  4. 処方薬を薬局で受け取り、または自宅に配送してもらう
  5. 経過を見ながら調整 — 効果が不十分と感じた場合は、再度ご相談いただけます。自分に合う処方薬の組み合わせを探す場合には、1週間分・2週間分の処方で効果を判断し処方変更していくことができます

診察前に整理しておくとスムーズなこと:「例年いつ頃から症状が出るか」「昨年はどの薬を使い、どこまで効いたか」「眠気が困る場面があるか」の3点をお伝えいただくと、開始時期と薬の選択が具体的になります。

対面受診をおすすめする場合

皮膚科の対面受診をご案内するケース:ジュクジュクした浸出液や膿がある場合、症状が急に広がった場合、顔以外にも広く湿疹がある場合、原因物質の特定(パッチテスト)が必要な場合は、皮膚科の対面受診をご案内しています。皮膚の詳細な観察や検査が必要となるためです。

あわせてお読みください

よくある質問(FAQ)

Q. 花粉症皮膚炎とアトピー性皮膚炎はどう見分けますか?

A.出る場所と時期で見分けます。花粉症皮膚炎はまぶた・頬・首など露出している部位に、花粉の飛散期と一致して現れ、飛散期が終わると軽快します。アトピー性皮膚炎は肘の内側や膝の裏など左右対称に出やすく、通年で良くなったり悪くなったりを繰り返します。ただし両方が重なっていることもありますので、判断に迷う場合は医師にご相談ください。

Q. 花粉症皮膚炎と脂漏性皮膚炎の違いは何ですか?

A.出る場所と皮膚の見た目が異なります。脂漏性皮膚炎は頭皮・眉間・鼻のわき・耳の後ろなど皮脂の多い部位に、黄色っぽく脂っぽいフケ状の付着物を伴って現れます。通年で繰り返す点も花粉症皮膚炎と異なります。花粉症皮膚炎は露出部に赤み・乾燥・ヒリヒリ感が出て、飛散期に一致します。

Q. 顔に市販のステロイドを塗っても大丈夫ですか?

A.ランクの確認が必要です。顔は皮膚が薄く薬が吸収されやすいため、弱い〜中等度のランクが使われます。まぶたはさらに慎重な扱いが必要です。強いランクを長く使うと、皮膚が薄くなる、赤みが引かなくなるといった副作用が起こることがあります。購入前に薬剤師にご確認いただくか、医師にご相談ください。

Q. まぶたのかゆみにはどんな薬が使えますか?

A.まぶたには最も弱いランクのステロイド外用薬か、ステロイドを含まない薬が用いられます。処方薬にはアレジオン眼瞼クリーム(エピナスチン)というまぶた専用の抗アレルギー薬があり、ステロイドを含みません。目のかゆみとまぶたの症状が同時にある方の選択肢になります。医師にご相談ください。

Q. 花粉症皮膚炎は何科を受診すればいいですか?

A.皮膚科が基本ですが、鼻や目の症状も同時にある場合は内科・アレルギー科でまとめて相談することもできます。内服の抗ヒスタミン薬は、皮膚・鼻・目の症状を同時に抑える働きがあります。ジュクジュクした浸出液がある場合や、症状が急に広がった場合は、皮膚科の対面受診をご検討ください。

Q. 保湿だけで対処できますか?

A.軽度であれば、保湿と花粉を肌につけない対策で改善することがあります。保湿はバリア機能を回復させ、花粉が皮膚に侵入しにくくするため、治療の土台になります。ただし2週間続けても赤みやかゆみが引かない場合は、薬による治療が必要な段階です。医師にご相談ください。

Q. 毎年繰り返すのを防ぐ方法はありますか?

A.飛散期が始まる前から保湿を強化し、バリア機能を整えておくことが有用です。また、鼻や目の症状に対する初期療法(飛散開始の2週間前から薬を始める方法)を行うと、シーズン全体の症状が軽くなることが知られています。前もって医師にご相談ください。

参考文献・出典

おうち病院の特化型外来

診療科目

その他一般科として、小児科、皮膚科、循環器内科を受診いただくことが可能です。

診療科目(自費)