花粉症の漢方薬|症状別の選び方と西洋薬との違い【保険適用で処方できます】

眠気が出る薬は困るけれど、市販の漢方薬を自分で選ぶのも不安——花粉症で漢方薬を検討する方から、よく聞かれる悩みです。漢方薬は「花粉症だからこれ」と一律に決まるものではなく、鼻水が中心か鼻づまりが中心か、体力や冷えの有無によって適した処方が変わります。本ページでは症状別の使い分けを整理し、注意すべき生薬と、保険適用で処方を受ける方法までをご案内します。

この記事でわかること

  • 花粉症の漢方薬は、症状のタイプ(鼻水中心か鼻づまり中心か)と体質で使い分けます。「花粉症=小青竜湯」と一律に決まるものではありません
  • 漢方薬は抗ヒスタミン薬のような中枢神経への作用がないため、眠気が出にくいことが特徴です。運転や仕事への影響を避けたい方の選択肢になります
  • 一方で、注意すべき生薬があります。麻黄(エフェドリン)は高血圧・心疾患・前立腺肥大の方に、附子はのぼせやすい方に注意が必要です
  • 甘草を含む漢方薬を複数併用すると成分が重複します。他に漢方薬を服用中の方は必ず医師にお伝えください
  • 花粉症の漢方薬は保険適用で処方を受けられます。おうち病院のオンライン花粉症外来では、初診から保険診療でご相談いただけます

漢方薬が花粉症に使われる理由

花粉症に漢方薬が用いられるのは、症状の出方を「体の水分の巡り」と「冷え・熱」という軸でとらえるためです。この考え方を知っておくと、処方の選び方が理解しやすくなります。

東洋医学では、水のような鼻水が止まらない状態を「水毒(すいどく)」、鼻粘膜が腫れて詰まる状態を「熱」に関わるものとしてとらえます。同じ花粉症でも、サラサラした鼻水が主体の方と、鼻づまりが主体の方では、選ばれる処方が変わるのはこのためです。

西洋薬がヒスタミンやロイコトリエンといった特定の物質の働きを抑えるのに対し、漢方薬は体質と症状の組み合わせから処方を選びます。そのため、症状名だけでなく、体力・冷えやのぼせの有無・胃腸の状態といった情報が処方の判断に必要になります。

症状タイプ別・漢方薬の使い分け

ご自身の状態に最も近い行をご覧ください。

症状・体質のタイプ主に用いられる処方特徴
水のようなサラサラした鼻水・くしゃみが中心。体力は中等度小青竜湯(しょうせいりゅうとう)花粉症で最もよく用いられる処方です。麻黄・甘草を含みます
上記と同じ症状だが、体力が低下している・高齢である・胃腸が弱い苓甘姜味辛夏仁湯(りょうかんきょうみしんげにんとう)麻黄を含まないため、小青竜湯が使いにくい方に用いられます
鼻づまりが強い・目のかゆみやむくみを伴う。体力は充実越婢加朮湯(えっぴかじゅつとう)麻黄・石膏・甘草を含みます。胃腸が弱い方には向きません
鼻づまりが中心で、慢性的に続いている葛根湯加川芎辛夷(かっこんとうかせんきゅうしんい)鼻閉に用いられます。麻黄・甘草を含みます
冷えが強く、疲れやすい。手足が冷たい麻黄附子細辛湯(まおうぶしさいしんとう)麻黄と附子を含みます。のぼせやすい方には向きません
粘り気のある鼻水・鼻づまりが続く。のぼせ感がある辛夷清肺湯(しんいせいはいとう)熱を冷ます方向にはたらきます。麻黄を含みません

この表から読み取っていただきたいのは、「鼻水が中心か、鼻づまりが中心か」が最初の分岐点になるということです。そのうえで、体力・冷え・胃腸の強さによって処方が絞り込まれます。市販薬を自己判断で選ぶ際に見落とされやすいのが、この2段階目です。

代表的な処方の比較

処方の中身を比べると、使い分けの理由がより明確になります。

処方麻黄附子甘草主に向く症状特に注意が必要な方
小青竜湯含む含む水様性の鼻水・くしゃみ高血圧・心疾患・前立腺肥大のある方、胃腸が弱い方
苓甘姜味辛夏仁湯含まない含む同上(体力が低下している方)甘草の重複に注意
越婢加朮湯含む含む鼻づまり・目のかゆみ・むくみ上記に加え、胃腸が弱い方(石膏を含むため)
葛根湯加川芎辛夷含む含む慢性的な鼻づまり高血圧・心疾患・前立腺肥大のある方
麻黄附子細辛湯含む含む冷えが強く疲れやすい方の鼻症状上記に加え、のぼせやすい方
辛夷清肺湯含まない含まない粘り気のある鼻水・鼻づまり胃腸が弱い方

「麻黄を含むかどうか」が、安全性を考えるうえでの最大の分岐点です。麻黄にはエフェドリンが含まれており、体質や持病によっては使えない場合があります。詳しくは後述します。

漢方薬と西洋薬の違い

漢方薬と西洋薬は、どちらが優れているというものではなく、性質が異なります。

比較項目西洋薬(抗ヒスタミン薬など)漢方薬
効き方ヒスタミンなど特定の物質の働きを抑えます体質と症状の組み合わせに応じて全体を整えます
効果を感じるまで数十分〜数日数日〜数週間
眠気成分により差があります(運転禁止の薬もあります)中枢神経への作用がないため、眠気は出にくい傾向があります
口の渇き出ることがあります出にくい傾向があります
注意すべき点眠気、他剤との相互作用麻黄・甘草・附子による影響、他の漢方薬との生薬の重複
保険適用○(医師が処方する場合)
選び方症状と眠気の許容度で選びます体質の評価が必要です

眠気の出にくさは、漢方薬の実用的な強みです。運転する方、機械を扱う方、受験を控えた方にとって、西洋薬の眠気は現実的な問題になります。漢方薬はこの点で選択肢になり得ます。

一方で、「漢方だから安全」ではありません。次のセクションで注意点を整理します。

注意すべき生薬(麻黄・甘草・附子)

漢方薬は生薬の組み合わせでできており、含まれる生薬によって注意点が変わります。

生薬含まれる主な処方注意点
麻黄(まおう)小青竜湯、越婢加朮湯、葛根湯加川芎辛夷、麻黄附子細辛湯エフェドリンを含み、動悸・不眠・食欲不振・血圧上昇が起こることがあります。高血圧・心疾患・甲状腺機能亢進症・前立腺肥大による排尿障害のある方、高齢の方は特に注意が必要です。医師にご相談ください
甘草(かんぞう)小青竜湯、苓甘姜味辛夏仁湯、越婢加朮湯、葛根湯加川芎辛夷ほか多数複数の漢方薬を併用すると成分が重複し、むくみ・血圧上昇・脱力感(偽アルドステロン症)が起こることがあります。他に漢方薬を服用中の場合は、必ず医師・薬剤師にお伝えください
附子(ぶし)麻黄附子細辛湯体を温める作用があります。のぼせ・動悸などが現れることがあり、のぼせやすい方・体力が充実している方には向きません。医師にご相談ください
石膏(せっこう)越婢加朮湯体を冷やす作用があり、胃腸が弱い方では胃部不快感が出ることがあります

市販の漢方薬を選ぶ際に最も見落とされやすいのが、麻黄と甘草です。総合感冒薬や他の漢方薬と併用している場合、気づかないうちに同じ生薬を重ねて摂取していることがあります。服用中の薬がある方は、医師・薬剤師にご相談ください。

市販の漢方薬と処方の漢方薬の違い

小青竜湯や葛根湯加川芎辛夷は市販薬としても販売されています。処方薬との違いを整理します。

比較項目市販の漢方薬保険診療で処方される漢方薬
選び方ご自身で選びます医師が症状のタイプ・体質・持病・服用中の薬をふまえて判断します
費用全額自己負担3割負担。継続する場合は負担が変わります
生薬の重複確認ご自身で確認する必要があります甘草・麻黄の重複を医師が確認します
持病との兼ね合い添付文書をご自身で確認します高血圧・心疾患・前立腺肥大などをふまえて判断します
合わなかった場合別の製品を買い直すことになります経過をふまえて処方を変更できます
他の病気の確認行われません副鼻腔炎・薬剤性鼻炎など、別の原因の有無を確認します

最も大きな違いは、合わなかったときの次の一手があるかどうかです。漢方薬は体質との相性で効き方が変わるため、最初の処方が合わないこともあります。市販薬では買い直しになりますが、処方であれば経過を医師と共有したうえで別の処方に切り替えられます。

漢方薬が向いている方・別の選択肢が適する方

漢方薬は選択肢の一つであり、すべての方に最適というわけではありません。判断の材料を整理します。

状況検討したい選択肢
西洋薬の眠気で仕事・運転・勉強に支障が出ている漢方薬が選択肢になります。あわせて、眠気の添付文書記載がない西洋薬(ビラノア・デザレックス)もご相談いただけます
冷え・むくみ・疲れやすさなど、鼻以外の不調も併せて整えたい漢方薬が向いている可能性があります
西洋薬の口の渇きが気になる漢方薬が選択肢になります
症状が強く、今すぐ抑えたい西洋薬のほうが効果を実感しやすい傾向があります。花粉症の処方薬一覧をご覧ください
鼻づまりが強く、夜眠れない鼻噴霧用ステロイド薬が第一選択です。医師にご相談ください
市販の漢方薬を2週間続けたが変化がない処方が体質に合っていない可能性があります。医師にご相談ください
高血圧・心疾患・甲状腺機能亢進症・前立腺肥大がある麻黄を含む処方は避ける必要があります。必ず医師にご相談ください
他に漢方薬を服用している甘草の重複に注意が必要です。医師・薬剤師にご相談ください
妊娠中・授乳中である自己判断で服用せず、必ず医師にご相談ください
黄色・緑色の粘り気のある鼻水/頬や額の痛み・発熱漢方薬で様子を見ないでください。副鼻腔炎の可能性があります。対面での受診をご検討ください

こんな症状がありませんか【セルフチェック】

当てはまる項目を数えてみてください。

□ 西洋薬の眠気が気になり、飲むのをためらっている
□ 運転や機械の操作をする仕事をしている
□ 水のようなサラサラした鼻水が止まらない
□ 冷えを感じやすく、疲れやすい
□ 市販の漢方薬を1か月以上続けているが、変化を感じていない
□ 漢方薬を買い続けており、費用が負担になってきた
□ ★他にも漢方薬を服用している
□ ★高血圧・心疾患・前立腺肥大などの持病がある

3つ以上当てはまる場合は、漢方薬が選択肢になる可能性があります。ただし処方の選択には体質の評価が必要なため、自己判断ではなく医師にご相談ください。

7つ目・8つ目の★に当てはまる方は、特に医師にご相談ください。甘草の重複や麻黄の影響を確認したうえで、安全に使える処方を選ぶ必要があります。

漢方薬は、保険適用で処方を受けられます|「おうち病院 オンライン花粉症外来」という選択肢

市販の漢方薬を買い続けている方に、まずお伝えしたいことがあります。医師が診断のうえで処方する漢方薬は、健康保険の対象です。花粉症のシーズンを通して服用する場合、市販薬を買い続けるより負担を抑えられることがあります。

漢方薬を選ぶには、症状のタイプ・体質・持病・服用中の薬の情報が必要です。これらはすべて問診で確認できる内容であり、画像検査や血液検査を必要としないため、オンライン診療との相性がよい領域です。

おうち病院のオンライン花粉症外来では、初診から保険診療で診察を受けられます。

おうち病院の特徴

✅ 自宅から受診できる

診察室に行かずにスマートフォン・PCから問診・診察が完了します。仕事が忙しくクリニックが閉まっている時間にしか行けないと悩んでいた方も、自宅から受診が可能です。

時間通りに診察が始まる

予約した時間に診察が開始するため、仕事の合間にも受診を計画的に組み込むことができます。
・平日・土日祝日も朝8時〜夜22時まで診察可能

✅ 女性医師が丁寧に診察

診察時間を15分確保しています。医師は事前に問診票を読み込んで診察に臨むため、「どの部位の症状が最も重いか」「内服薬・点眼薬・点鼻薬の組み合わせ」といった具体的な状況を落ち着いてお伝えいただけます。

✅ 合わなかった場合、次の一手があります

市販薬では合わなければ買い直しになりますが、処方であれば経過を医師と共有したうえで別の薬に切り替えられます。

受診場所と薬の受け取り場所を分けられる

受診はスマートフォン・PCから自宅や外出先で行い、処方薬は自分が指定した薬局で受け取れます。
・処方せんは全国8,200店舗の薬局から選択し自動送信され、受け取り可能
・自宅配送「おくすりおうち便」を利用すれば、薬局に行く手間なし

✅ お子さん・妊娠中/授乳中の方のご相談にも対応しています

年齢や妊娠週数によって、使用できる薬は変わります。お子さんの年齢、妊娠週数、授乳の有無を問診票にご記入ください。その内容をふまえて、医師が使用できる薬をご提案します。市販薬を自己判断で使う前に、まずは医師にご相談ください。

受診費用の目安(保険適用・両外来共通)

費用項目金額
診察料(保険適用・初診)1,000〜1,200円
システム利用手数料1,100円
合計目安約1,900〜2,400円
※自宅への配送をご希望の場合は追加900円にて「おくすりおうち便」をご利用いただけます。
※薬代は別途。薬局での自己負担額は薬剤・保険の種類により異なります。

おうち病院 オンライン診療の受診の流れ(5ステップ)

  1. おうち病院の花粉症外来ページから診療予約
  2. 事前問診票に回答 例年、症状が出始める時期と、症状の中心(くしゃみ・鼻水・鼻づまり・目・肌)を必ずご記入ください。初期療法の開始時期と薬の選択に直接関わります
  3. ビデオ通話で医師と診察 (約15分・クイックな対応の場合には5分程度で完了)
  4. 処方薬を薬局で受け取り、または自宅に配送してもらう
  5. 経過を見ながら調整 — 効果が不十分と感じた場合は、再度ご相談いただけます。自分に合う処方薬の組み合わせを探す場合には、1週間分・2週間分の処方で効果を判断し処方変更していくことができます

※診察時にお伝えいただきたいこと:漢方薬は体質の情報が処方の判断に直結します。冷えやのぼせの有無、胃腸の強さ、高血圧・心疾患・前立腺肥大などの持病、他に服用中の漢方薬を共有いただくと、より適した処方の検討が進みます。

対面での受診をご案内するケース:黄色・緑色の粘り気のある鼻水が続く場合(副鼻腔炎の疑い)、高熱や強い痛みを伴う場合、舌下免疫療法・手術療法をご希望の場合は、対面での受診をご案内しています。

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よくある質問(FAQ)

Q. 花粉症に漢方薬は効きますか?

A.用いられています。水のような鼻水やくしゃみには小青竜湯、鼻づまりには越婢加朮湯や葛根湯加川芎辛夷などが使われます。ただし漢方薬は症状名だけでなく体質との組み合わせで選ぶため、花粉症という診断だけで処方が決まるわけではありません。効果の感じ方にも個人差があります。

Q. 花粉症の漢方薬は保険が適用されますか?

A.適用されます。医師が診断のうえで処方する場合、健康保険の対象です。市販の漢方薬は全額自己負担となるため、シーズンを通して服用する場合は費用の負担が変わります。おうち病院のオンライン花粉症外来でも、保険診療でのご相談に対応しています。

Q. 漢方薬は眠くなりませんか?

A.漢方薬には抗ヒスタミン薬のような中枢神経への作用がないため、眠気は出にくい傾向があります。運転や仕事への影響を避けたい方の選択肢になります。ただし麻黄を含む処方では、逆に不眠や動悸が起こることがあります。気になる症状があれば医師にご相談ください。

Q. 小青竜湯は誰でも飲めますか?

A.すべての方に使えるわけではありません。小青竜湯には麻黄が含まれており、エフェドリンによる動悸・不眠・血圧上昇が起こることがあります。高血圧・心疾患・甲状腺機能亢進症・前立腺肥大による排尿障害のある方、高齢の方は特に注意が必要です。医師にご相談ください。体力が低下している方には、麻黄を含まない苓甘姜味辛夏仁湯が選ばれることもあります。

Q. 市販の漢方薬を飲んでいますが、続けて大丈夫ですか?

A.2週間から1か月続けて変化がない場合は、処方が体質に合っていない可能性があります。医師にご相談ください。また、他に漢方薬を服用している場合は甘草の重複に注意が必要です。むくみ・血圧上昇・脱力感などが現れた場合は、服用を中止して医師にご相談ください。

Q. 漢方薬と西洋薬は一緒に使えますか?

A.併用されることはありますが、判断は医師が行います。生薬と西洋薬の相互作用や、他の漢方薬との生薬の重複を確認する必要があるためです。現在服用中の薬をすべて医師にお伝えください。なお、おうち病院のオンライン花粉症外来では内服薬と外用薬の併用処方には対応していません(2026年8月時点)。

Q. 漢方薬はどのくらいで効果がわかりますか?

A.数日で判断できるものではありませんが、花粉症に用いる処方の中には比較的早く変化を感じられるものもあります。目安として2週間から1か月続けて変化がない場合は、処方の見直しを検討するタイミングです。服用を始めた時期と症状の変化をメモしておくと、診察時の相談材料になります。

参考文献・出典

おうち病院の特化型外来

診療科目

その他一般科として、小児科、皮膚科、循環器内科を受診いただくことが可能です。

診療科目(自費)