下の血圧(拡張期血圧)が高い原因と下げ方|30〜50代に多い理由と受診の目安

「上の血圧は正常なのに、下の血圧だけが90を超えている」——健診の結果や家で測った血圧を見て、こう気になっている方は少なくありません。結論からお伝えすると、下の血圧(拡張期血圧)が診察室で90mmHg以上、家庭で85mmHg以上なら、上の血圧が正常でも高血圧と判断されます。 下の血圧が高い型は30〜50代の働く世代に多く、体重、飲酒、塩分、運動不足、睡眠などの生活習慣が関わることが多いため、生活習慣の見直しで下がる余地も大きいとされています。本ページでは、下の血圧が高くなる理由と下げ方、薬を検討する目安、受診の目安をご案内します。

この記事の要点

先に結論だけを知りたい方のために、本ページの内容を5つにまとめました。

  • 下の血圧(拡張期血圧)は、心臓がゆるんでいるときに血管にかかる圧力です。診察室90mmHg以上、家庭85mmHg以上で高血圧と判断されます
  • 下の血圧が高い型は30〜50代に多く、年齢が上がると上の血圧が高い型に移っていくことが多いとされています
  • 主な要因は、肥満、飲酒、塩分のとりすぎ、運動不足、睡眠不足やいびき、ストレスなどです
  • 「下の血圧だけを下げる薬」はありません。薬が必要な場合は、上の血圧と同じ種類の降圧薬を使います
  • まずは家庭で朝と夜に血圧を測り、記録をつけてください。家庭で85mmHg以上が続くときは、医療機関で相談することが勧められます

上の血圧・下の血圧とは

血圧には「上の血圧(収縮期血圧)」と「下の血圧(拡張期血圧)」の2つの値があります。上の血圧は、心臓が縮んで血液を送り出すときに血管にかかる圧力で、下の血圧は、心臓がゆるんで血液をためているときに血管にかかる圧力です。どちらか一方でも基準を超えれば、高血圧と判断されます。

血圧の基準を、上と下に分けて示すと次のとおりです。

区分上の血圧(収縮期)下の血圧(拡張期)
正常(診察室)120mmHg未満かつ 80mmHg未満
高値血圧(診察室)130〜139mmHgまたは 80〜89mmHg
高血圧(診察室)140mmHg以上または 90mmHg以上
高血圧(家庭)135mmHg以上または 85mmHg以上
治療の目標(診察室・原則)130mmHg未満かつ 80mmHg未満

つまり、上の血圧が120台でも、下の血圧が90以上であれば、高血圧として扱われます。上の血圧が正常で下の血圧だけが高い状態は、「拡張期高血圧」と呼ばれることがあります。

下の血圧が高くなる理由

このセクションが、本ページでもっともお伝えしたい内容です。下の血圧が高くなる主な理由は、全身の細い血管が縮みやすくなり、血液が流れるときの抵抗が大きくなっていることです。その背景には、次のような生活習慣や体の状態が関わっていることが多くあります。

要因下の血圧が上がる理由見直しの例
肥満(とくに内臓脂肪)交感神経が働きやすく、体に塩分と水分をためやすい夜遅い食事と間食を減らす
飲酒毎日の飲酒が続くと血圧が上がる量を減らし、休肝日をつくる
塩分のとりすぎ体に水分がたまり、血液の量が増える汁物・麺類の汁・加工食品を控える
運動不足血管をしなやかに保つ働きが落ちる早歩きなどを毎日30分
睡眠不足・いびき交感神経が高ぶる。睡眠時無呼吸症候群が隠れていることも睡眠時間を確保し、いびきは医師に相談
仕事のストレス・長時間労働交感神経が高ぶった状態が続く休息の時間を意識してつくる

30〜50代は、仕事が忙しく、外食・飲酒・睡眠不足が重なりやすい世代です。一方で、年齢が上がって血管が硬くなると、上の血圧が上がり、下の血圧はむしろ下がっていくことが多いとされています。そのため、若い世代の高血圧では、下の血圧が先に高くなるケースが目立ちます。

原因の病気が隠れていることもある

下の血圧が高い場合でも、多くは生活習慣が関わる高血圧(本態性高血圧)ですが、まれに、ホルモンの病気や腎臓の病気、睡眠時無呼吸症候群などが原因になっていることがあります。若いうちから血圧が高い場合や、急に血圧が上がった場合、健診でカリウムが低いと言われた場合は、原因を調べる検査を受けることが勧められます。詳しくは「高血圧の治療法|薬を使わずに下げる?生活習慣の改善と薬の始め方」で解説しています。

下の血圧が高いと、何が問題なのか

下の血圧が高い状態も、放置すると、脳卒中や心臓病などの合併症のリスクにつながります。若い世代の拡張期高血圧は、その後、上の血圧も高い高血圧へ進むことがあるため、早めに気づいて生活習慣を見直すことが大切です。合併症については「高血圧の合併症|脳・心臓・腎臓・目に起こる病気と、防ぐためにできること」で解説しています。

下の血圧を下げる方法|生活習慣でできること

下の血圧を下げる基本は、上の血圧と同じく、生活習慣の見直しです。下の血圧が高い型は、体重や飲酒、睡眠など、見直せる要因が重なっていることが多いため、取り組みの効果が出やすいことがあります。主な方法は次のとおりです。

  • 減量:肥満の方は、体重を今の3〜5%減らすことから始める
  • 節酒:毎日の飲酒をやめ、休肝日をつくる。量は男性でビール中瓶1本程度まで、女性はその半分程度を目安に
  • 減塩:食塩は1日6g未満を目標に、まず1日2〜3g減らす
  • 運動:早歩きなどの有酸素運動を毎日30分以上、または週180分以上
  • 睡眠:睡眠時間を確保する。大きないびきや日中の強い眠気は医師に相談

取り組みの効果は、家庭で血圧を測って記録すると確かめられます。測り方は「家庭血圧の正しい測り方と記録のコツ」、生活習慣の具体的な工夫は「血圧を下げる生活習慣7つ|薬に頼る前にできる高血圧の対策と予防」で解説しています。

薬を検討する目安|「下の血圧を下げる薬」はある?

「下の血圧だけを下げる薬」はなく、下の血圧が高い場合も、カルシウム拮抗薬やARBなど、上の血圧と同じ種類の降圧薬を使います。薬を始めるかどうかは、下の血圧の高さだけでなく、上の血圧、年齢、糖尿病や喫煙などのリスクを合わせて医師が判断します。

一般的な進め方は、次のとおりです。

状況進め方の目安
糖尿病・慢性腎臓病・脳卒中や心臓病の既往などがあり、リスクが高い場合、または血圧がかなり高い場合生活習慣の見直しと同時に、薬を始めることがある
それ以外の場合まず生活習慣を見直し、おおむね1か月以内に家庭血圧の記録をもとに医師と再評価して、目標まで下がらなければ薬を検討する

薬を始めた場合も、少ない量の1種類から始め、家庭血圧を見ながら調整するのが一般的です。薬の種類と副作用は「血圧を下げる薬(降圧薬)の種類と選び方|「軽い降圧剤」はある?副作用・即効性も解説」で解説しています。

こんな状態が続いていませんか【セルフチェック】

下の血圧が高い型に当てはまりやすい生活習慣を確かめるためのチェックです。当てはまる項目を数えてみてください。

□ 健診で、下の血圧が90mmHg以上と言われた
□ 家で測ると、下の血圧が85mmHg以上の日が多い
□ ここ数年で体重が増えた
□ ほぼ毎日お酒を飲む
□ 外食やコンビニ食が多く、味の濃いものが好き
□ 睡眠時間が6時間より短い、またはいびきを指摘される
□ 仕事が忙しく、運動する時間がほとんどない

2つ以上当てはまる場合は、生活習慣を見直し、家庭で血圧を測って記録してください。家庭で下の血圧が85mmHg以上の日が続く場合は、一度医師にご相談ください。激しい頭痛や胸の痛み、手足のまひ・しびれなどがあるときは、血圧の値や項目の数にかかわらず、すぐに119番に連絡してください(迷うときは#7119)。

「すでに治療中で、通院の時間がとれない」なら、「おうち病院 オンライン高血圧外来」という選択肢

下の血圧が高い型は働く世代に多く、平日の日中に通院の時間をとりにくい方も少なくありません。おうち病院の高血圧外来では、すでに高血圧と診断されて降圧薬で治療を受けている方を対象に、家庭血圧の記録とお薬手帳をもとに、ビデオ通話で処方の継続や調整を行っています。とくに、1〜2種類の薬で血圧が安定していて、家庭で血圧を測っている方は、オンライン診療と相性がよいといえます。一方で、高血圧の最初の診断や検査はオンラインではできないため、健診で指摘されただけの方は、まず対面の内科を受診してください。

おうち病院の特徴

おうち病院の高血圧外来には、通院の負担を減らすための次のような特徴があります。

✅ 診察するのは全員が女性医師:

予約日時を選ぶときの「医師フィルター」で、医師を選んで予約できます。

✅ 時間通りに診察が始まる:

予約した時間に診察が始まるため、仕事や家事の合間にも予定を組みやすくなります。

✅ 平日・土日祝日も朝6時〜深夜0時まで受診できる:

最終の診察枠は23:45〜0:00で、予約は枠の1時間前まで受け付けています。

✅ 受診場所と薬の受け取り場所を分けられる:

処方せんは、全国8,200店舗以上の連携薬局から選んだ薬局へ送られます。自宅に届ける「おくすりおうち便」も選べます。

✅ 費用が事前にわかる:

診察料の目安とシステム利用手数料を、予約の前に確認できます。

受診費用の目安(保険適用・3割負担の場合)

オンライン診療でも、対面の診療と同じく健康保険が使えます。初診と再診の目安は次のとおりです。

項目初診再診
診察料(3割負担)1,000〜1,200円800〜900円
システム利用手数料1,100円1,100円
合計の目安約2,100〜2,300円約1,900〜2,000円
※おくすりおうち便を使う場合は、追加で900円(税込)かかります。薬代は薬局で別にお支払いいただきます。正確な金額は予約画面に表示されます。

処方できるお薬(すべて保険診療の対象です)

おうち病院の高血圧外来では、すでに処方されている降圧薬の継続を基本に、医師が診察のうえで処方を判断します。主な処方例は次のとおりです。

分類主な薬剤(一般名(商品名))市販での入手
カルシウム拮抗薬アムロジピン(アムロジン など)不可
ARB(アンジオテンシンⅡ受容体拮抗薬)アジルサルタン(アジルバ)、オルメサルタン(オルメテック など)、テルミサルタン(ミカルディス など)不可

※上の表は処方例です。このほかの降圧薬の継続も、医師が診察のうえで判断します。
※麻薬・向精神薬に加え、抗悪性腫瘍剤・免疫抑制剤などのハイリスク薬は、オンライン診療では処方できません。血液をサラサラにする薬、糖尿病の薬、不整脈の薬などを飲んでいる方は、すべての処方を把握している対面のかかりつけ医での治療が適しています。

おうち病院 高血圧外来への受診の流れ

受診の前に、3か月以内のお薬手帳と、家庭で測った血圧の記録(血圧手帳、または血圧アプリの画面)をご用意ください。この2つが確認できない場合は、オンライン診療では処方できないことがあります。

  1. 予約:おうち病院のトップページ、または高血圧外来のページから、受診したい日時を選んで予約します
  2. 事前問診:いま飲んでいる薬と、お薬手帳・血圧の記録の写真を、問診票で共有します
  3. ビデオ通話で診察:血圧の記録とお薬手帳をもとに、医師が処方の継続や調整を判断します
  4. 薬の受け取り:指定した連携薬局で受け取るか、おくすりおうち便で自宅に届けてもらいます
  5. 経過の確認:家庭での血圧測定を続け、3〜4か月ごとに対面の医療機関で血液検査を受けていただきます

⚠ オンライン診療ではなく、対面での受診をお願いするケース

次に当てはまる場合は、オンライン診療ではなく、対面の内科・循環器内科での受診をお願いしています。安全に治療を続けるための線引きですので、ご理解ください。

  • 高血圧と診断されたことがない(健診で指摘されただけで、まだ治療を始めていない):診断には対面での測定や検査が必要です
  • お薬手帳で降圧薬の処方を確認できない、家庭で測った血圧の記録がない
  • 3〜4か月以上、血液検査を受けていない:腎臓の働きやカリウムの値を確認する必要があります
  • 高血圧以外の持病で多くの薬を飲んでいる、またはハイリスク薬を処方されている:複数の薬の調整は、すべての処方を把握しているかかりつけ医が適しています
  • 妊娠中、または妊娠の可能性がある:使える降圧薬が限られるため、産婦人科と相談してください

⚠ 血圧の値にかかわらず、激しい頭痛、顔や手足のまひ・しびれ、ろれつが回らない、胸や背中の激しい痛み、息苦しさがある場合は、ためらわずに119番に連絡してください。 救急車を呼ぶか迷うときは、救急安心センター(#7119)に相談できます。症状がなくても家庭で180/110mmHg以上が続くときは、当日中に医療機関に相談してください。

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この記事の監修

本記事は、おうち病院 医師チームが監修しています。医師チームは、産婦人科・皮膚科・内科などを専門とする医師で構成され、全員が女性医師です。記事の内容は、公的機関や学会のガイドラインをもとに医師が確認しています。

よくある質問

受診の前によく寄せられる疑問をまとめました。それぞれ、最初の一文で答えをお伝えしています。

Q. 下の血圧が高いのは、なぜですか?

A. 全身の細い血管が縮みやすくなり、血液が流れるときの抵抗が大きくなっていることが主な理由です。肥満、飲酒、塩分のとりすぎ、運動不足、睡眠不足、ストレスなどが関わることが多く、30〜50代の働く世代に多くみられます。まれに、ホルモンや腎臓の病気が原因のこともあります。

Q. 下の血圧はいくつから高血圧ですか?

A. 診察室で測る血圧では90mmHg以上、家庭で測る血圧では85mmHg以上が高血圧の目安です。上の血圧が正常でも、下の血圧がこの基準を超えていれば高血圧と判断されます。治療の目標は、原則として診察室で80mmHg未満です。

Q. 下の血圧だけを下げる薬はありますか?

A. 下の血圧だけを下げる薬はありません。下の血圧が高い場合も、カルシウム拮抗薬やARBなど、上の血圧と同じ種類の降圧薬を使います。薬を始めるかどうかは、上の血圧やほかのリスクと合わせて医師が判断します。

Q. 下の血圧が高いのは、上の血圧が高いより危ないですか?

A. どちらが危ないというより、どちらか一方でも基準を超えていれば、合併症のリスクにつながると考えられています。若い世代の拡張期高血圧は、その後、上の血圧も高い高血圧へ進むことがあるため、早めに生活習慣を見直すことが勧められます。

Q. 下の血圧を下げるには、何から始めればいいですか?

A. まずは家庭で朝と夜に血圧を測って記録し、そのうえで、体重、飲酒、塩分、運動、睡眠のうち見直せるものから始めてください。複数の対策を組み合わせると、より効果が期待できるとされています。

Q. 下の血圧が高いと、どんな症状が出ますか?

A. 多くの場合、自覚症状はありません。頭痛や肩こりを血圧のせいと感じる方もいますが、症状の有無で血圧の高さは判断できないため、測って確かめることが大切です。激しい頭痛や胸の痛み、手足のまひなどがあるときは、すぐに119番に連絡してください。

Q. 下の血圧が高い場合、オンライン診療で受診できますか?

A. すでに医療機関で高血圧と診断され、降圧薬で治療を受けている方は、オンライン診療で処方を続けられることがあります。おうち病院では、3か月以内のお薬手帳と家庭で測った血圧の記録の添付をお願いしています。健診で指摘されただけの方は、まず対面の内科を受診してください。

参考文献・出典

本ページは、次の公的機関・学会の情報をもとに作成しています。

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診療科目

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